長崎大学 情報データ科学部

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2023年02月02日
小林 透教授が「第9回ものづくり日本大賞 優秀賞」を受賞しました
 情報データ科学部、小林 透教授は、粕谷製網株式会社(代表取締役:粕谷英雄氏)長崎県工業技術センター(所長:橋本亮一氏)と実施した共同研究成果「養殖業界に革新をもたらすAIを活用した世界初の樹脂製亀甲網の開発」が、第9回ものづくり日本大賞の優秀賞を受賞(※)しました。
 内閣総理大臣表彰「ものづくり日本大賞」とは、製造・生産現場の中核を担っている中堅人材や伝統的・文化的な「技」を支えてきた熟練人材、今後を担う若年人材など、「ものづくり」に携わっている各世代の人材のうち、特に優秀と認められる人材を顕彰するものです。
 今回受賞した「養殖業界に革新をもたらすAIを活用した世界初の樹脂製亀甲網の開発」は、漁網や斜面の落石防止ネットに利用される樹脂製亀甲網の品質と生産性をIoTとAIにより画期的に向上させたことが評価されたものです。
これまで、亀甲網の製網においては、糸状の樹脂素材を螺旋状に成形しながら六角形に編網する専用装置を利用していました。しかし、編網の過程で、どうしても糸状の樹脂素材のテンションのズレにより亀甲型が変形します。この過程の品質を保つには、熟練技術者の手作業による微調整が必須で、製造コストと量産化が課題となっていました。
そこで、小林教授らは、IoTとAIを活用した編網装置を新たに開発し、編目部分における不具合の事前予測と、張力制御の自動化を可能にしました。これにより、樹脂製亀甲網の製造コストの削減、品質の担保、生産性の向上に成功しました。
 現場の熟練技術者のスキル・ノウハウを、AIに学習させ、高い品質と生産性を達成するという本モデルは、日本のものづくり再興の鍵となります。小林透研究室では、本モデルの考え方を、今後、機械部品の製造装置といった第二次産業のみならず、スマート養殖やスマート農業といった第一次産業にも適用することで、長崎の強みをさらに強化し、競争力を高めることに貢献していきます。
 なお、本研究開発は、経済産業省の補助事業である「戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン事業)〔事業管理機関:一般財団法人九州オープンイノベーションセンター〕」を活用して実施いたしました。

 

※ 政府広報
 第9回ものづくり日本大賞 受賞者一覧(経済産業大臣賞・優秀賞):
※ 令和5年3月2日にANAクラウンプラザホテル福岡にて表彰式が挙行される予定です。

 

▼樹脂製亀甲網の編網装置▼

▼熟練技術者による微調整模様▼

▼AIによるリアルタイム良・不良判定表示モニター▼

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